2018-01-11

「ちいさなうみ」2018冬ツアー 企画趣旨

「ちいさなうみ」を上演します。

この作品は自閉症や重度重複障害など、障害を持つ子どもを対象とした演劇作品です。
じっとしていられない、初めての物や人に会うことが不安、感覚が過敏、視力や聴覚に障害がある、自力で移動することができないなど、様々な障害を持つ子どもにとって、劇場で従来の演劇を鑑賞する経験は時に様々なハードルがあります。
当団体は2008年から「すべての人にアートを」をスローガンに、年齢や障害の有無問わず、多様な人が芸術に触れ、参加できる環境を生み出す活動を行っています。しかし、数年前の舞台公演の際、自閉症の子どもが劇場に入れず帰ってしまったということがありました。私達はその時、障害の種類によっては特別な配慮や事前準備が必要な観客がいる、と気が付きました。
そこで35年に渡り自閉症や重度重複障害、低年齢の子どもを対象に演劇作品を創っている英国の劇団「オイリーカート」を日本に招聘し、そのノウハウを学びました。
彼らが実践していたのは、子ども達の五感を刺激することで深い演劇体験を提供する「多感覚演劇」というものでした。
1回の公演の観客は6組と少人数で、3~4人の役者が丁寧で相互的な関わり合い方をしながら、様々な素材を使って五感をつかって楽しめる作品を上演していきます。また、先が見通せないことに大きな不安を抱く自閉症スペクトラムの子どもたちには、作品の内容を事前に知ることができるハンドブックを用意したり、映像や音楽を配信する配慮も続けていました。
私達は彼らの取り組みに感銘と刺激をうけ、そのノウハウを生かした作品を2017年7月に発表しました。それがこの「ちいさなうみ」です。今回は更に多くの子ども達へ届けるべく、仙台の南と北、山元町と塩竈での上演を予定しています。
日本における芸術施設や作品創造の現場では、身体障害者に向けたハード面の配慮は増えているもの、作品創造の段階から様々な障害に配慮した取り組みは多くありません。
私達はこの事業を通して、より多くの子ども達に演劇に触れる機会を届けていきたいと考えています。 
子どもたちに優しく寄り添い、歌いかける美しい体験を、親子揃ってお楽しみください。

すんぷちょ 代表
「ちいさなうみ」プロデューサー 及川多香子

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です